塗装工事によって得られる生産物として

塗装工事によって得られる生産物としての塗膜は建設工事の他の工事と比較して多くの特性をもち,その特性が塗装の目的を達成するものであって,それを十分に理解した対応が必要であり,その特性を示すと次の事項があげられる。

① 塗膜はミクロの単位で巨大な建築物を美装,保護している:建築生産の中において,その生産物がミクロ単位でその目的を達成しているのは多くの建材の中で塗膜のみであり,1回塗りの工程で得られる塗膜の厚みは20-30ミクロンの単位であり,所定の塗回数を塗装しでも,100ミクロンの単位程度である。このことは,塗膜は非常に巨大な力をもっている反面,その塗装工事の良否が,端的に現れるもので,施工のときの管理が重要であるといえる。

② 塗装工事は,生産の場で,その形体を変化させる:建築工事の中でその生産段階で変化の大きいものは,コンクリート工事にならんでこの塗装工事であって,液体状態を固体状態に変化させるもので,すなわち,塗料という液体を塗装という生産行為によって,塗膜という固体に変化させるものであるが,この変化が自然の力である空気,熱エネルギ一等により,化学的または物理的に変化を生じさせ,目的の塗膜を得るものである。この変化を一般に乾燥・硬化として表現しているがこの場合においても,その条件は非常に多種多様で,それぞれの塗料に個性があり,それらに十分マッチした条件を与えていく必要がある。

③ 塗膜は有機化合物が中心である:建築工事において,有機化合物を使用する他業種には,防水等が加わってきたが,最も歴史があり,それなりに態勢がとられているのが建築工事である。

建築工事においては,コンクリート,鉄骨をはじめその主流は無機質が中心であるが,その中において最近は無機高分子とのハイプリッド化が開発されつつあるが,塗料が有機質の代表となっており,その生産における品質,工程,安全等の管理形体をはじめ,その取扱い自体が異なっている。

④ 塗膜はライフサイクルをもつがその目的達成は無限の力をもっ:工場で生産された塗料は建設現場等における塗装という生産行為によって塗膜が生産され,その目的を発揮しながら,耐久性を保持していき,表1-1に示す,1つのライフサイクルを描いていく。このライフサイクルにおいて,有機物である塗膜は必然的に耐久力に限界があり太陽エネルギー,雨,風等の外力により,劣化現象を生じていく有限なものである。

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